生まれたばかりの我が子の成長を感じられる、夫婦関係が良好になるなど、男性が育休を取得するメリットは非常に豊富です。さらに2022年からは法改正によりさらに取得しやすく、メリットも大きくなりました。
ですが、残念ながら男性の育休取得率はいまだ一割程度…取得してもその平均期間は1週間程度というからもったいない。
今回は、男性が育休を取得するに上で押さえておきたい制度の概要、申請方法、給付金、さらに2022年10月から変わることといった基本情報について整理したいと思います。
あらためて育休とは?
いわゆる「育休」とは正確には「育児休業」と言います。育児・介護休業法という法律で定められている制度で、原則として、1歳に満たない子どもを育てる従業員が勤務先に申し出ることで利用することができます。
取得には雇用期間などの条件もありますが、性別にかかわらずに取得することができ、男性の場合は配偶者の出産予定日から子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます。
取得までの流れ
私の実体験も交えて、取得までの基本的な流れについて整理したいと思います。
育休を取得することを決めたら必ずしなければいけないことは休業開始の1か月前までに勤務先に対して育休取得を書面で申し出ることです。
私の勤務先の場合は、書面の代わりに電子申請で受け付けてくれました。会社ごとに申請の方法や手続きの流れについて定めていると思いますので、心配な点があれば勤務先の担当部署に相談するのが一番確実です。
男性の育休のいま
日本は諸外国に比べても育休の制度は整っているといえます。それにも関わらず、厚生労働省が公開している「令和2年度雇用均等基本調査」によると2020年度の男性の育休取得率はたったの12.65%。さらに取得できた人のうち、休業期間が5日未満だった人の割合は28.33%でした。
この調査ではどのタイミングで育休を開始したのかまではわかりませんが、正直1週間程度の休みなぞ全くの無意味であるとほぼ断言できます。
一番もったいないのが生まれたその日から育休をスタートする場合です。多くの方が産院等で出産をされると思いますが、産んだらその日に家族そろって家に帰れるわけではありません。大体5日間、経過がよくて4日間は母子ともに入院して過ごします。
生まれたその日から育休をスタートしたとして、パパにできることと言えば「お留守番」しかありません。もちろん面会もできるでしょうが、1日1時間程度のところが多いでしょう。
私は産前2週間、産後約3か月休みをとりましたが、生まれてから妻と子が退院するまでの5日間が一番ヒマでした。つまり下手をすると、なけなしの5日間をほとんど育児に参加できることなく浪費してしまう恐れがあります。育休を申請する際には開始するタイミングについてよくよく検討をしてください。
職場の状況など考慮するべきことはあると思いますが、正直5日程度では話になりません。最低1か月以上はまとまった期間で取得できるように立ち回られることをお勧めします。
給付金の受け取り
職場に育休を申し出て、職場の許可が降りたら無事に開始日からお休みできます。あとの手続きなどは基本的には職場の労務管理部署などが代行してくれるので、自らハローワークに行くような必要はありません。
必要に応じて、母子手帳の写しや、給付金振込口座の情報を求められますのですぐに提出できるように用意しておきましょう。
ちなみに給付金は休み始めたその月からすぐに振り込まれるということはありません。
給付金は2ヶ月に一回というルールなので、4月1日から育休を取得した場合は4月1日から31日までと、5月1日から5月30日までの2ヶ月分を6月に申請することになります。審査にはおよそ半月ほど時間がかかるということですので、休み始めてから3ヶ月程度は見ておいた方が良いかもしれません。
2022年10月からは「産後パパ育休」が開始
2022年10月から新たに「産後パパ育休」が創設されます。これは従来の育休とは別の制度で、原則休業開始の2週間前までに申し出ることで、出生後8週間以内に4週間までの休暇を取得できます。また初めにまとめて申し出れば分割して2回取得することできるようになっています。
2022年10月から育児休業の分割取得も可能に!
2022年10月からのもう一つの大きな変更として、従来の制度では原則1回しか取得できなかった、子が1歳になるまでの育休を分割して取得できるようになります。
これは夫婦ともに共通して適用されます。この変更によって例えば共働き家族では夫婦間でバトンリレーのように交代しながら育休を取得するようなこともできるようになります。ママの職場復帰のタイミングでパパが育休を取得したりと、状況に応じてとれる選択肢の幅が広がるといえそうです。
むすび
現在の日本の現状ではまだまだ育休をまとめて取得している男性は少数派であることは間違いありません。ですが2022年は制度の面で大きな変化の年となります。特に10月からは新しい制度も運用がはじまります。確実に環境は整えられつつあります。大きな課題としては職場の空気感など、まだまだ根が深そうなものもありますが、社会が変わろうとしているなか、育休をとろうとしている男性社員をサポートしなければならないのが企業努力の一つとして認められました。ぜひ、こうした追い風を味方につけて、育休を取得する「ファーストペンギン」になる男性が増えてくれるといいなと思います。